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入場無料

Untitled Gathering (Tokyo 2020)

林明弘(マイケル・リン)✕ アトリエ・ワン
ジャンル
インスタレーションアート
日時
2021.10.30 (土) - 11.14 (日) 11:00-20:00 GMT+9(ただし10月30日のみ15:00-20:00)
会場
東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 1階 アトリウム
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「Taiwan Now」のアートプロジェクト期間中に展示される『Untitled Gathering (Tokyo 2020)』は、林明弘(マイケル・リン)とアトリエ・ワン(Atelier Bow-Wow)のコラボ作品。メイン会場であるKITTEアトリウムから構想を得たもので、テーブル、ベンチ、スツール、ステージが作品を構成。フォーマル、インフォーマルを問わず、様々な集まりがここで行われることを促す。
Untitled Gathering は、林明弘(マイケル・リン)が2005年にスタートさせたシリーズ作品。「無題」とは、プランがないままに創作が行われ、そのコンテンツがどのようなものかを示さないということを意味する。このため、Untitled Gathering では、非公式で偶然の集まりのような、さまざまなアイデアや即興のイベントが行われるかもしれない。社会の成り行きがそうであるように、いつまでたっても完成しないジグソーパズル。
ぼくの家には椅子が3脚あった。ひとつは孤独のため、ひとつは友情のため、そしてもうひとつは社会のためだ。
⸺ ヘンリー・デイヴィッド・ソロー
この作品はアトリエ・ワンのデザインによるもので、テーブルとベンチ、スツール、そしてステージで構成されている。連続したパターンの凝集と、分散や断裂。2つの状態のバランスを視覚的に、物理的にを保っている。すべてのオブジェクトが決められた順序で組み合わされたとき、連続性があり装飾性のあるパターンを作り出す。しかし、この作品は、すべてのオブジェクトが決められた位置に完璧な状態で置かれているわけではなく、見る人と作品との間で干渉が起こると、パターンは周辺から内側に向かって崩れていく。常に何脚かのスツールや何台かのベンチはきちんと並んでおらず、秩序が変わる可能性を暗示している。オブジェクトは定期的に組み合わされて完全なパターンとなる。その機能は、好奇心に駆られたり疲れた人がスツールを引いて腰かけたときに初めて明らかになる。これは、対話の行き詰まりを打破し、新たな社交の様式が始まることを象徴している。

リンは、故郷、台湾が内包する文化的な実践や歴史的な美学と行為から深い影響を受けている。作品を構成しているスツールは、かつて台湾の田舎でよく見られた臨時に設営された野外映画館に着想を得たもので、そこには大量の蚊が群がるため「蚊の映画館」と呼ばれることもあった。こうした映画は、神々の誕生日を祝うために道教寺院の前の広場で上映されることが多く、近隣の住人たちがあたりまえのように、ふらっと集まってくる。

リンの作品の多くに登場するパターンと同様に、スツール、ベンチ、テーブルにみられる花柄の模様には、いずれも伝統的な「台湾花布」が用いられている。この図案は、かつての農業社会において嫁入り道具の寝具に描かれていた柄で、集団的な記憶を暗示するとともに、台湾が近代化され、手工業的な生産様式が工業生産に取って代わられ、農村型の生活スタイルが都市型に変化した時代に入ったことを示す指標でもある。
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林明弘(マイケル・リン)
林明弘(マイケル・リン)
台北及びブリュッセルを仕事と生活の拠点とする。リンは、絵を観賞して思索に沈むものではなく、境界のある物理的な空間、落ち着き、住むことができる空間として捉えている(Vivienne Rehberger)。リンは大規模なインスタレーションを制作し、公共空間を再概念化、再構成した。台湾伝統の「台湾花布」を用いた大胆な図案がデザインされた作品は、イスタンブール・ビエンナーレ、オークランド・トリエンナーレ、パレ・ド・トーキョー、ニューヨーク・MoMA PS1、東京都現代美術館、メキシコ・ジュメックス美術館、そして最近では、トロント・コンテンポラリー・アート美術館(MOCA)など、世界各地の大型美術館や国際ビエンナーレに出展されている。

リンは公共の美術館の展示を変えた。従来とは異なる絵画を展示空間に置くことで、美術館を訪れる人たちが今まで抱いていた既成の概念をくつがえし、その人たちまでもをリンの作品に欠かせない一部とすることで、空間との相互作用や出会い、再創造の可能性としての空間に意味を与えている。
アトリエ・ワン
アトリエ・ワン
アトリエ・ワンは、1992年に塚本由晴と貝島桃代によって設立された東京を拠点とする設計事務所で、2015年に玉井洋一がパートナーとして加わった。建築設計から都市研究、コモンズの再構築まで、その活動は多岐にわたる。「ふるまい学」という独自の理論に基づいて、世界各地で住宅、公共建築、商業建築、公共空間を設計することを通して、産業化しすぎた建築を人々の側に取り戻そうとしている。
クリエイターズ|マイケル・リン、アトリエ・ワン
制作|ミチノクグラフィック